私の競馬はチョット新しい

-第56回-
中央競馬騎手菱田裕二さん


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競馬とは縁のない家庭から競馬学校へ

市丸:騎手としてデビューされるまでの経緯をうかがいます。小学生のころは、サッカーをされていたそうですね。

菱田:京都サンガの下部組織、ジュニアのチームでプレーしていました。競馬を初めて見るまではサッカー一筋で、プロのサッカー選手になりたいと思っていました。

市丸:菱田さんは伏見区(京都市)の出身で、中学は藤森中学校に通われていたとのことですが、春の「駈馬神事」でも有名な藤森神社があるところですね。

菱田:競馬学校を受験する前に祈祷をしてもらいましたし、今でも毎週の競馬の前、木曜や金曜には、今週も無事に乗れるようにと行っています。

市丸:そうでしたか。その中学を卒業されて競馬学校に進むことになりますが、サッカー選手から一転して騎手になりたいと思ったのは、どのようなきっかけがあったのでしょう。ご両親の影響ですか?

菱田:いえ、家庭で競馬の話題が出ることは一切ありませんでした。ただ、あるとき、G1が京都競馬場であるからと、確か天皇賞かと思いますが、「一度、広場に遊びがてらに行ってみよう」という話になったんです。

市丸:最初に見た競馬の印象はどうでしたか?

菱田:それまで馬もほとんど見たことがなかったのですが、見るものすべてかっこいいなあと思って、それまで味わったことのない衝撃を受け、感動しました。


市丸:それからすぐにジョッキーを目指したのでしょうか。

菱田:最初は「馬とふれあってみたい」というのが一番でした。KBS京都で競馬中継を見たり、図書館で競馬の本を借りてきたりして、それからはずっと自分の中でジョッキーになりたいという気持ちを持っていました。

市丸:乗馬クラブに通われたりは?

菱田:両親が競馬をしないですし、また、お金のかかるスポーツだということもわかっていましたので、乗馬をしたいとはなかなか言い出せなかったです。

市丸:競馬学校を受験しようと決められたのはいつごろでしたか?

菱田:ジョッキーになりたいという気持ちをずっと打ち明けられずにいたのですが、中学3年生になる前に「今相談しないと間に合わなくなる」と思って、話をしました。

市丸:すぐに賛成してもらえたのでしょうか?

菱田:最初は猛反対されました。ただ、自分でランニングをしたり、努力している姿勢を見せているうちに、1回、馬に乗ってみたらいいのではないかと、父親から言ってくれました。そのとき、ちょうど京都競馬場の乗馬少年団の募集をしていて、中学3年のはじめから少年団に行きました。

市丸:初めて乗ってみて、いかがでしたか?

菱田:乗り始めたときは、楽しくて仕方なかったですね。その後、競馬学校に入ってからは、ただ楽しいだけではない部分、馬に乗る厳しさを痛感することになりました。