私の競馬はチョット新しい

-第55回-
漫画家甲斐谷忍さん


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マンガの予想法には隙がなくてはいけない

市丸: 「ウイナーズサークルへようこそ」を読んで単複で勝負される方なのかと思っていましたが、実際はどのような買い方をされていますか?

甲斐谷: ふだんは複勝1点とワイド1点、たいがい人気薄しか買いませんね。6〜7番人気の複勝と、その馬からのワイドです。仕事をやりながらですと、全部の馬を精査する時間がなくて、だんだんそのようになってきました。

市丸: その「ウイナーズサークルへようこそ」の連載が2011年にはじまるわけですが、これはやはり、待望の競馬マンガということになりますか。

甲斐谷: 「待望の」という形ではなかったですね。編集長に「なにかやろう」とお話ししたときに「急いでやろう」と言われ、「急いでできるのは競馬しかありません」とはじめたものでした。

市丸: 壮大な構想があったわけではないのですね。

甲斐谷: 「ジャンプ改」は、創刊したばかりの雑誌なんですよ(2011年6月創刊)。そういう時期には、いっせいに描くメンツを揃えなければならなくて、すべての連載について急がなければいけないんですね。それで「早く立ち上げられるものを」ということで、「競馬ならすぐです」となりました。

市丸: 読ませていただいて嬉しく思ったのは、主人公がずっと初心者のままで初心者向けにこれを描きたいという気持ちをお持ちなのかな、というところでした。

甲斐谷: ぼくが競馬をはじめた後よりも、その前のほうが競馬ブームだったと思うんですね。オグリキャップとか、ナリタブライアンのころは見てはいましたけれど、馬券は買っていませんでした。それから今は円熟期といいますか、マニアックなほうに行っていて、それはそれで良いと思いますけれど、もっと昔の競馬ブームのころのようにみんなが気軽に競馬をやれるのもいいなあと、思う面もあるんですね。別に儲からなくても、みんなで競馬場に行ってひとつでも当たれば楽しいじゃないですか?そういう競馬の楽しさが伝わればいいなあ、と思っています。

市丸: わたしも初心者向けのお仕事の話をいただくことがありますが、どうすればいいのか難しくて、先生がこういう形で初心者の方を引っ張ってくださるのは嬉しく思っていました。さて、その「ウイナーズサークルへようこそ」の主人公・山川七雄クンですが、岡田繁幸さん(コスモヴューファーム社長)の相馬眼を持っているということがもともとのスタートだったそうですね。

甲斐谷: ぼく、岡田さんの大ファンなんですよ。「競馬場の達人」(グリーンチャンネル)で岡田さんが出演されたとき、その冒頭で「競馬に商売として関わっているプロとして競馬を極めれば馬券で儲かることをこの場で証明します」と言われて、実際にプラス収支にされたんですよ。

市丸: それはかっこいいですねえ。

甲斐谷: これは本当にすごいな、と思って、それから岡田さんが出演される番組を見るようになったんです。そうしたらある番組で自分は絵を描くのが好きで、描いていると馬体の変化や特徴などを人よりも鋭く捕らえられるようになりますよ、とおっしゃっていたんです。そういうところを主人公のキャラクターとしていただきました。

市丸: すごいですよね、七雄クン。ちょっと見ただけでわかってしまうという……。

甲斐谷: ぼく自身はまったくわからないのですが(笑)、市丸さんはいかがですか?


市丸: まったく見ないんですよ。

甲斐谷: 予想スタイルとしてタイムを重視されていますね。

市丸: ええ。今のところ、タイム理論を操るような登場人物は出ていないですね。

甲斐谷: マンガに出てくる予想法って、あまりしっかりしていると笑いが取れないんです(笑)。どこかに隙がないといけないんですよね。そういう意味で、市丸さんのように「IPAT馬券道場」で名人まで行かれるようでは……。

市丸: あのときは、もう今開催はダメだなと思っても不思議なことがいくつも重なりまして(笑)。