私の競馬はチョット新しい

-第55回-
漫画家甲斐谷忍さん


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アシスタントと担当さんの影響で競馬好きに

市丸: それから少しずつ、馬券を買われるようになったのですか?

甲斐谷: いえ、たまに有名なレースを見るくらいでした。富山でどうやって馬券を買ったらいいのかわかりませんし……、電話投票の会員になればいいのでしょうけれど。

市丸: なかなか狭き門でしたよね。

甲斐谷: 馬券を買うようになったのは、2つめの連載(ソムリエ)を持っていたときです。アシスタントがものすごい競馬好きだったのですが、さらに担当の編集さんも競馬好きだったんです。さすがに2人が競馬好きとなると、仕事場に担当さんが来ると競馬の話になるわけですよ。そうすると、もう競馬がやりたくて仕方なくなりました(笑)。

市丸: それは何年くらいのことでしょうか?

甲斐谷: 98年くらいですね。オグリキャップ(引退レースは90年)からかなり時間が経ってからからなんですよ。それから半年ほどで電話投票に当選して、自分で馬券を買うようになりました。

市丸: 競馬場デビューもこの時期ですか?

甲斐谷: まず有馬記念は見てみたかったので。担当さんが競馬好きと知った直後の有馬記念には行きました。それから「ソムリエ」と同時進行で「ONE OUTS」の連載がはじまったのですがその担当さんが、ソムリエの担当さんに輪をかけて競馬好きで、それから毎週、競馬場へ行くようになりました。その方は「ビジネスジャンプ」でやまさき拓味さんの「優駿の門」と掛け持ちだったんですよ。「ONE OUTS」は野球マンガでしたが、なにかの役に立つかもしれないと思い、「取材」と称して一緒に行っていました。

市丸: このあたりから、一気に競馬に入っていった感じでしょうか。

甲斐谷: そうですね。まわりの方に恵まれて。

市丸: それから「LIAR GAME」で主人公の名前を「秋山」とされて、ほかに「福永」など競馬関係者の名前がたくさん出てきますが、それまでは、登場人物の名前を覚えるのが苦手だったそうですね。

甲斐谷: その前の「ONE OUTS」という野球マンガで新しい対戦相手が出てくると、設定として25人から30人くらいのキャラクターを用意していたのですが、それが自分で作っていて全然覚えられなかったんです。そこで、これだけ自分が競馬を毎週見ているのだから、騎手の名前にすればすっと入るのではないかと考えてはじめました。

市丸: そんな中で主人公の名前を「秋山」にされたのは、秋山(真一郎)騎手のファンでいらっしゃる……。

甲斐谷: もう大ファンです(笑)。

市丸: そのすぐ後に、07年のオークスが福永騎手のローブデコルテと秋山騎手のベッラレイアの決着でした。

甲斐谷: このときは「甲斐谷先生のおかげで馬券が当たりました」という方が何人もいらっしゃいました。自分はこれを買うとも、来そうだとも言っていない、実際に買っていないのに、みんなにお礼を言われてちょっと情けない思いでした(笑)。

市丸: 秋山騎手は、昨年のNHKマイルCで、ついにG1を獲られましたね(カレンブラックヒル)。

甲斐谷: それまでもG1でチャンスがあるときはずっと馬券を買っていたのですけれど、このときは「ちょっと今までとは違うぞ」と思いましたね。それでツイッターで大々的に「今度はついに取れそうなので、皆さん応援してください」と書いていました。


市丸: 競馬場にも行かれましたか?

甲斐谷: アシスタントの仕事を休みにして、東京競馬場でその場に立ち会いました。長かったですね。

市丸: 競馬場では、騎手の名前など叫ばれたりするのですか?

甲斐谷: 秋山騎手のときは叫びますね。あと、最近は武豊騎手でも。年齢も近いですし、自分の思いや人生を重ねるように応援するようになりました。

市丸: あのレースは馬券もドーンと獲られたそうですね。

甲斐谷: 単勝は獲りましたけれど、その他の馬券は全部ハズレたので取りガミじゃないですか?世間の人は秋山騎手の単勝しか買っていないと思っていたかもしれませんね。