私の競馬はチョット新しい

-第37回-
ノーザンファームしがらき場長松本康宏さん


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築き上げてきた土台が結果に繋がる

市丸:ノーザンファームに移られたのはいつになりますか?

松本:2009年です。10月にノーザンファームしがらきが完成する前に、まずは経験したことない繁殖の分野、つまり出産などを勉強させてもらいました。それから、当歳馬や1歳馬の管理なども。それで、ようやくですが、競走馬の一生を肌で感じることができました。これからの競馬人生においても、とても重要な経験だったと思います。

市丸:それからしがらきの開場まではどのように?

松本:夏のセレクトセールが終わるころまでは北海道で、それから山元トレセンで研修させてもらいました。


市丸:オープンされる前、最初にこの施設を見たときの期待感というのは……。

松本:見ていただいた通りで「すごいなあ」とは思いました。ただ、最初のうちは結果も出ないだろうし、とりあえず、ひたすら頑張るしかないな、という気持ちでした。

市丸:しかし、オープンされると最初から活躍する馬が続出しました。

松本:いきなり「ポン」とオープンしただけでは結果は出なかったと思うんです、バタバタとしてしまうだけで。ただ、調教主任の存在が非常に大きかったです。もともと、ノーザンファームのスタッフとしてグリーンウッドに常駐していたのですが、こちらがオープンしたときにグリーンウッドでやっていた流れをそのまま持ってきてくれたのです。グリーンウッドでのノウハウと、ノーザンファームの各牧場から来たスタッフとがうまく融合することで、いい結果が出たんですね。牧場が始まった頃は、一緒に仕事をしたことのない人たちばかりで不安なことだらけでした。ただ、自分のできることをしっかりとこなし、わからない部分は任せるしかないと思いました。そして任せている中で感じたのは、そういった土台がしっかりとあるからこれだけの結果が出たということでした。

市丸:どうしても、充実した施設に目が行ってしまいますが……。

松本:まずは、しっかりと築き上げてきた土台があったことが一番だと思います。栗東でハードなトレーニングを積むことになるわけですから、こちらでは鍛えることよりも、鍛えられる基礎体力をつける、体力を回復させることに重点を置いているんです。調教で引っ掛かるなら掛からないようにじっくりと乗ったり、痛いところがあるならそれを取ってあげて、栗東でのトレーニングに耐えられる肉体と精神を作り上げることですね。そして、それを最初から実行できたのは、そういった土台があったからだと思っています。