-第12回-
タレント 安田和博さん
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ライスシャワーの差しで情けない顔になったノッチさん
市丸: 初めての競馬の思い出はいつごろですか?
安田: 一番初めに競馬を見た覚えがあるのは、高校生のころ、カツラギエースがジャパンCを逃げ切ったとき(84年)です。おやじがベッドタイム(2着)から馬券を買ってて、カツラギエースが抜けてすごく怒ってました。僕は後ろで見てて、心の中で「そのまま行け」って思ったんですけど(笑)。
市丸: その後、間が空いてますね?
安田: ええ。しばらく飛んで、20歳くらいのときから重賞だけ、なんとなく馬券を買うようになりました。当時は新宿のウインズへ行って、メーンだけ買って帰って家のテレビで見るみたいな感じでしたね。GIのときなんかは相棒と一緒にウインズへ行ったりもしましたよ。そうすると、相棒はGIだけしかやらないから、「何くる?」とか聞いてましたね。
市丸: なるほど。ノッチさんもキャリアはかなりあるわけですね。
安田: 一度ね、忘れもしない、あいつがアパートの更新料を払えなくて困ってたことがあるんですよ。家賃1ヶ月分。で、手持ちのお金が少しだけあって、これを3倍くらいにすれば、なんとかなると。そのとき、菊花賞だったんですよ。ミホノブルボンの3冠がかかった菊花賞(92年)。
市丸: おお。劇的なレースですね。
安田: そのときに「何くるんだ?」と聞かれて、いやミホノブルボンの3冠は確実でしょ、と。相当強いよ、アレは。みたいなことをよく知らないくせに言ってたんですよ。その日、たまたま府中の近くで学園祭に出演する予定がありました。だから、朝まず東京競馬場に二人で買いに行ったんです。ミホノブルボンとマチカネタンホイザの馬連8.2倍一点に3割、押さえでミホノブルボンの単勝1.5倍を7割。これなら、馬連が来れば更新料が払えるし、馬連が外れても単勝は確実だから元手は返ってくる。これでOKだという話しになって。
市丸: 3倍でOKなら、まあそうなりますよねえ。うんうん。
安田: そしたら、昼から学園祭でネタをやったんですが、相棒が関係ないのにお客さんの前で「マチカネタンホイザ」とか言ったりするんです。即興でつくった「マチカネタンホイザの歌」を口ずさんだり。そんなの、全然誰にもわからないですよ。だって府中だし、競馬興味ある人は競馬場に見に行くでしょう?
市丸: 確かに。おっしゃるとおり(笑)。
安田: 結局、出番が終わって3時20分くらいですかね、府中駅着いて、近くの電気屋さんで菊花賞を見たんですよ。キョウエイボーガンが逃げたけど、ミホノブルボンが2番手から先頭に立って、マチカネタンホイザが内から差してきて、「よしこの2頭で決まる!」と思ったときに…。
市丸: 外から…(笑)。
安田: そう、ライスシャワーが来て差し切っちゃった。その瞬間、めちゃくちゃ笑いがこみ上げてきたんですけど、一生懸命それをこらえました。だって、笑えなかったですもん、相方の不幸を考えると。そのあと、帰りの電車で顔チラッと見るとすごい情けない顔してて、おかしくておかしくて。たまにチラッとおれの顔見るんですよ。で、「お前今笑ってただろ!」って突然怒り出す。それからですね、相方の前で競馬の話しするのやめたのは。