私の競馬はチョット新しい

-特別編-
予想家 小林弘明さん


(2/5)
持ち時計の遅い馬が高評価になる風もある

市丸:風がレースに与える具体的な影響はどう考えれば良いでしょうか?

小林:さきほどの札幌の例で向正面が向かい風(直線が追い風)なら、1000mではスタートから向かい風なのでスピードに乗りにくいうえに、向かい風で走る距離が長くなるので時計が出にくく、1700mではスタートから追い風なのでスピードに乗りやすいうえに、追い風で走る距離が長くなるので、時計が出やすくなります。

市丸:コーナーの数や、同じコーナー4つでもスタート地点が直線の中ほどか4コーナー寄りなのかでも違いそうですね。

小林:わかりやすいのは新潟の直線1000m戦です。斜めの風を別にすれば、追い風なら追い風、向かい風なら向かい風しかありませんから。


市丸:その場合、実際の予想にはどう役立てれば良いのでしょう。

小林:極端な向かい風では「直線1000m専用」のような馬は最後にスタミナ切れを起こしてしまうので、1200mに適性のある馬を買います。風によって時計がまったく違いますから、直線1000mでの好走時計が遅い馬は、向かい風適性や、1200m適性がある馬が多いと思います。

市丸:単に時計が速い馬を買うのではなく、向かい風なら遅い馬を買うという作戦にもなるんですね。なるほど、深いですね。実際のタイムとしては、どのくらい違いが出るものでしょうか。

小林:直線1000mなら無風ベースでプラスマイナス0.7秒、追い風と向かい風で1.5秒くらいの違いは出ます。また、中山のダート1200mがわかりやすくて、未勝利戦で直線が向かい風なら前後半のタイムが5秒以上違うこともありますね。

市丸:たとえば前半の600mが33秒7で、上がりが38秒7かかっていれば、向正面が追い風、直線が向かい風だったということですね。競馬場によって、どういう風が吹きやすいということはありますか?

小林:阪神なら、南西の、西寄りの風が吹くことが多いです。直線では向かい風になる上に坂もあるので、ラストが10秒9-13秒0とかなら、キツいレースだったことがわかります。また、東京は全体の時計にはあまり影響はないんですが、東寄りの風(最後の直線追い風)が多く、上がりが速くなりすぎているのを補正することはありますね。

市丸:季節によってはどうですか?

小林:地形的な影響のほうが大きいですが、季節なら春の中山は風の影響が出やすいです。風向きは両方あって、午前と午後で違ったりもするので、時計も全然変わってきますね。

市丸:ほかに、なにか大レースで「こんなことがわかる」といった例はありますか?

小林:皐月賞の勝ちタイムを見ると、2013年までに1分58秒台が出た4回はすべて直線で追い風が入っていたのですが、15年のドゥラメンテ(1分58秒2)は無風で出した初めての58秒台だったので、レベルが高かったことがわかります。また、昨年(ディーマジェスティ、1分57秒9)は、レベルが高かった上に追い風も入ったタイムでした。

市丸:時計そのものだけではなく、風も踏まえて見ると、レベルの高低がはっきりわかるんですね。

小林:本当は、無風が一番いいんですけれどね、指数の精度が上がりますから。風は刻一刻と変わりますので、100%を折り込むのは難しいです。その昨年の皐月賞は向正面で急に11秒台が入ったのですが(12.0-10.7-11.5-11.7-12.5-11.5-12.4-12.2-11.6-11.8)、レースを見ていてもわからないんですよ。急に向かい風が止んだり、そこだけ追い風になったりしたのか。ですから、基本的には100%を消化しようとは思っていないです。

市丸:なるほど。いわゆる「風が巻いている」ようなときもありますからね。そういった特殊な状況ではないときは、どのように見たらいいのでしょうか。先ほど、スタート時の時計旗を見るというお話しもありましたが……。

小林:まず気象庁のホームページなどで風向きを確認した上で、時計旗以外では、スターターの振る旗や、馬場内にある日章旗なども見ます。あとはダートコースなら砂塵の舞い上がり方、京都競馬場なら池の水面なども参考になりますね。スタンドでは風向きが変わってしまうこともあるので、馬場レベルで見られるものを参考にした方がいいと思います。