-第42回-
中央競馬騎手石橋脩さん
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経験や考えに基づいた第六感が働いた天皇賞制覇
市丸:それでは、ビートブラックのお話しに移りたいと思います。あの天皇賞の週は前が止まらない馬場で……。
石橋:土曜日にも1200mでたいへんな時計(3歳500万で1分6秒9)が出ていて、ものすごい馬場だな、という感じはしていました。
市丸:ビートブラックでは、かなり積極的なレース運びでしたが、そういった馬場状態を意識されていたのですね。
石橋:馬場状態もそうですし、京都外回りの長いところは、(有力馬が)じっくり構えてくれると「そういうこと」(前残り)が起こりやすいというイメージもありました。馬場も距離・コースからも、起こりうる条件でしたね。
市丸:なるほど。レースは逃げたゴールデンハインドの2番手につけて、3コーナーで交わしていかれましたが、馬券を買っている側から見ると「ちょっと早いかな」という印象も受けました。
石橋:ゴールデンハインドもいいペースを刻んで、まだバテてはいませんでしたし……、なんでしょうかね、「カン」です(笑)。
市丸:でも、結果としてはそれが大正解でした。
石橋:あれで止まらなかった馬が偉いですね。もう少し詰められていたら、また馬の闘志にも火がついたでしょうけれど、あれだけ離れていたのに、よく最後まで止まらずに走ってくれました。なにもかも、うまくいきましたね。
市丸:追い切りでもよく動いていましたし、状態も良かったのでしょうね。
石橋:そうですね。見ていても状態の良さは伝わってきましたし、乗っていてもその通りでした。あそこから動くのは常識とは違いますが、その出来の良さなどもあって「ここから行こう」と、さっと行動に移せましたね。
市丸:自然と動いた感じだったのでしょうか?
石橋:これまでの経験や、馬場や馬の状態など、いろいろなことを考えていた中で体が勝手に動いた感じでした。
市丸:さきほど「カン」とおっしゃいましたけれど、「当てずっぽう」という意味ではなく……。
石橋:考えに基づいた第六感的な直感でしょうか。ただ、勝てたのはやっぱり馬が頑張ってくれたことと、出来の良さが1番ですね。
市丸:師匠の柴田政人先生からは、少しあれは早かったとか……。
石橋:少し強引だったと。確かに、あの時計で走れるのですから、ゆっくり行っても勝てたかもしれないですし、もっと楽勝だったかもしれないですね。G1を勝ったことでつけあがらないように(笑)、よく見ていただいています。ありがたいですね、全部見ていてくださいますから。