私の競馬はチョット新しい

-第35回-
レーシングライター 辻三蔵さん


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データを調べるほど競馬の奥深さを感じる

市丸:データとは少し違いますが、JRAレーシングビュアーを使えば、重賞や新馬の調教映像も自宅で見られますね。

辻:グリーンチャンネルの「ランニングフォーム研究所」という番組では、JRA-VAN NEXTで見られる調教映像がたいへん役立ちました。たとえば、オルフェーヴルくらいの馬になると、デビューからの調教が蓄積されていて全部すぐに見られるんですよ。もちろん直前の追い切りも大切ですが、こうして馬が変化していく様子がわかるのは、すごく貴重だと思います。

市丸:やはり、若いときと完成されてからは違いますか?

辻:オルフェーヴルを見たら、びっくりするほど違うと思いますよ。また、兄のドリームジャーニーとの違いや変化とも比べられますし、やりはじめたらキリがないほどおもしろいです。


市丸:グリーンチャンネルといえば、辻さんも出演されている「KEIBAコンシェルジュ」のコンシェルジュのみなさんも、いろいろな理論をお持ちですね。

辻:コンシェルジュ5人の予想スタイルが全く違うのでおもしろいですよね。他のコンシェルジュの予想を見て「この馬に本命を打ったか!」と驚かされる場面が何度もあります。これがまた、話を聞いていると、説得力があるんですよ。つい新聞に印を書いてしまいます(笑)。みなさんの個性が強すぎるので、私も埋没しないようにするのが大変です。データ、取材、調教、相馬眼、トラックバイアスと競馬予想に必要な素材を組み合わせて斬新な予想をしていますので、ファンの方にも参考してもらいたいですね。

市丸:津田さんはパドック解説などもされていますが……。

辻:長年、厩舎取材を担当しているので人脈も豊富ですし、ルメール騎手やデムーロ騎手とも親しいのですが、あえて自分の予想理論でやるという姿勢。厩舎情報に頼ることなく、過去のレース内容を重視した予想を貫いています。「ホースニュース・馬」社時代からの先輩で公私ともに大変お世話になっていますが、プライベートは…ともかく、予想に対するストイックな姿勢は見習いたいですね。

市丸:いろいろとお話しをうかがいましたが、あらゆる場面でJRA-VANやデータを活用されていますね。

辻:たまに「昔の競馬はおもしろかった」という方もいらっしゃいますが、わたしはこうしてJRA-VANで分析したりできる、今の競馬が楽しくて仕方がないです。また、今の競馬のおもしろさというのは、こうして勉強したことが馬券に繋がるところです。データを調べれば調べるほど、競馬の奥深さを感じますし、新しい事実が次々に発見されていきます。作家の寺山修司氏は「競馬は終わりのない長編小説だ」という言葉を残していますが、血統だけではなく、データもまた競馬史に刻まれた記録で構築された重要なエッセンスだと思います。

市丸:本日はありがとうございました。