-第27回-
漫画家 つの丸さん
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同じ競馬でもロンシャンと日本には大きな違いが
市丸:その後、アニメ化もされました。
つの丸:連載をはじめて1年ちょっと経ったころでした。
市丸:これは脚本家の方がいらっしゃって、直接は関わられていないのですね。
つの丸:忙しかったのでできないという面もありましたけれど、主人公の声優さんだけお願いして、あとはほとんど視聴者として見ていました。より子供向け、一般向けになって、キャラクターも増えていますね。
市丸:その後「たいようのマキバオー」(07年〜)まで10年くらいありましたが、その間に「競馬を描きたい」と思われたことは?
つの丸:「みどりのマキバオー」である程度は描ききった、というのもありましたので……。
市丸:06年にディープインパクトが凱旋門賞に遠征したときに観戦記を書かれてますね。
つの丸:そのころになると「そろそろ新しい競馬ものを」という話も出ていたので、じゃあ見に行こうかと。それまで、実はあまりディープインパクトは好きではなかったんですよね、「優等生」で。でも、凱旋門賞に行くというなら見てみたいな、と。
市丸:強いばっかりの馬はあまり好きではない感じですか?
つの丸:そうですね。たとえばナリタブライアンが、当時の(旧表記)5歳のときに挫折を経験してから復活してきたり、そういうのは好きです。ディープインパクトも国内で走っていたときは、当たり前のように勝って「本人楽しく走っているのか?」と疑問を持っていたのですけれど、大きな舞台へ向かってどんな気持ちでいるのか、わくわくしているのか、などと想像しながら見に行きました。
市丸:いかがでしたか、ロンシャンは?
つの丸:とてもきれいでしたね。そんな中に日本人がたくさんいて、彼らは勝負服を着ていたり、あちらの方はきっちり正装されていたり、競馬の見方が少し違うのかな、とも思いました。
市丸:マンガで描くにも日本とは違うようになりますね。
つの丸:どう描いたらよいのか大変興味があったのですけれど、熱狂しているような感じも少ないですし、難しいですね。また、そのころハルウララの話題もあったので、その落差のようなものも感じました。シルクハットの紳士が見ている競馬と、高知で負け続けているのと……。これが同じ競馬なんだとちょっとショッキングな感じでしたが、その世界の差というものを描きたいと思いました。
市丸:見ている人も違いますが、馬券を売るシステムも違いますね。日本はかなりきっちりしているというか……。
つの丸:ドバイなんて、馬券自体もないですし。どちらかといえばドバイのほうがショックは大きかったかもしれません。初めて行ったホクトベガのときはスコールの影響で延期になって見られずに帰ってきて、それからあの事故のことを聞いたのですが……。また、そのときのドバイと今のドバイも違いますね。
市丸:去年、セレモニーすごかったですよね。
つの丸:もうオリンピックかというくらい。あれも少し描いてみたいですね。
市丸:日本の競馬はどうですか?
つの丸:最近、特におもしろくなってきました。牝馬が強くなって、ウオッカとダイワスカーレットのライバル物語のようなものがあったり。先に挙げたナリタブライアンと、マヤノトップガンの同着になるんじゃないかという競馬とか(阪神大賞典)、独走ではなく、勝ちまくるのでもなく、という競馬は見ていて楽しいです。
市丸:同着といえば、「みどりのマキバオー」ではダービーの同着がありましたが、昨年ついにオークスでG1の1着同着がありました。
つの丸:G1では1着同着にしないという噂を聞いていたので驚きましたね。また、馬券も的中できたのでいい記念になりました。「同着って払い戻しどうなるんだっけ?」とか思いながら(笑)。