-第27回-
漫画家 つの丸さん
(1/6)
「馬がしゃべる」のは自然だった
市丸:それでは、よろしくお願いします。まず競馬との出会いからお聞きしたいのですが、「みどりのマキバオー」が94年からとのことですけれど、それ以前は……。
つの丸:たまにG1を買うくらいで、ものすごい競馬好きというわけではなかったです。ダービーはマスコミに取り上げられることが多くて、それでなにもわからずに買ったのが最初でした。
市丸:それは何年ころのことですか?
つの丸:ウィナーズサークルの年(89年)です。誕生日が5月27日でダービーのころなのですが、その年はリアルバースデーという馬が出ていて「ちょうどいいや」と名前だけで単勝を買いました。2着で外れてしまったのですけれど。
市丸:それが漫画家としてデビューされる少し前くらいですね。
つの丸:それからたまにG1を買い出したのですが、担当になった編集者の方が競馬好きで、その勧めで競馬ものを書くことになりました。
市丸:G1をたまに買われるくらいからですと、描かれるにあたっていろいろとご苦労もあったかと思いますが……。
つの丸:そんなに熱狂的というほどでもなかったですから、牧場もなにも知らないような状態で、調べながら描いていました。
市丸:「みどりのマキバオー」の前の「モンモンモン」にも少し競馬の話がありますね。
つの丸:動物ものが描きたかったんです。それで競馬のお話しがあったときに、無理なく動物を主人公に描ける題材で「バッチリだな」と。
市丸:そのころ、わたしはもう競馬の仕事をしていたので「ついにこういう(競馬を取り上げた)マンガが出てきて良かったな」と思った記憶があります。ただ、そういう「競馬を盛り上げよう」というものではなかったのですね。
つの丸:最初は競馬をまじめに描くつもりはなくて、もう少しギャグ寄りでした。少年誌で競馬をまじめに扱って受け入れられるか、というのもありましたし。だんだん描いているうちに、ですね。
市丸:今回、1巻から拝読したのですけれど、馬がしゃべることによって、こんなことができるのか、こんなに世界が広がるのかと、と大変驚きました。
つの丸:動物がしゃべることについてはいろいろ言われることはありますが、「しゃべらせよう」という意図があったわけではないんです。ディズニーで育ったこともありますし、競馬を見ているときも「どういう気持ちで走っているのだろう」と考えたりしていましたから、特に実験的な意味もなく、自然とああなりました。
市丸:ただ、すごく新鮮なものとして受け取った読者も多いでしょうね。
つの丸:ほかにも競馬マンガはありましたが、こういうのはなかったですからね。でも、馬を主人公に描きたかったのと、あと競馬にあまり詳しくなかったので、騎手とかの話になると「いや、こうじゃないよ」というのがありそうですから。馬の気持ちを描く分には「違うよ」とは言われませんし(笑)。