私の競馬はチョット新しい

-第23回-
競馬評論家 合田直弘さん


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日本のレースを見られないときにも役立つJRA-VAN

市丸:今はどのくらいの頻度で海外には行かれているのでしょうか?

合田:回数でいうと月1回、日数でいうと年間100日くらいですね。

市丸:一番好きなレースなどありますか? 開催でも。

合田:普通に言えば、ブリーダーズCの2日間ですね。あそこにいれば、2日ですごい馬とすごいジョッキーを見られるわけですから。もし年に1回だけと言われたら、あの2日間に行きたいです。あとは、夏のグロリアス・グッドウッド開催や、夏のヨーク競馬場のイボア開催、それにドーヴィル競馬場の夏開催とか、いい開催はたくさんありますよね。アメリカなら夏のデルマーとか。

市丸:グッドウッドはさきほども名前が挙がっていましたが……。

合田:競馬場がすごいきれいなんですよ。グロリアス・グッドウッドはメインにサセックスSという1マイルのG1があって、競馬としてもおもしろいのですが、天気の悪いイギリスにあって、この開催と、ヨークのイボア開催はだいたい晴れるんです。競馬場が山林の上にあって、バスに乗ると森の中をうねうね上がっていって、木漏れ日がたいへんきれいなんですね。それでてっぺんに出ると視界が開け、そこに競馬場があるという、あのシチュエーションが大好きです。「グロリアス」というのは「きらめく」「輝ける」という意味ですが、うまいネーミングだと思いましたね。とってもすてきな開催です。


市丸:ヨーロッパだとビッグレースはイギリスやフランスになってしまいますが、イタリアやドイツなどはどうですか?

合田:フランス滞在中に一日だけドイツに行ったりとかはできますよね。夏の開催はリゾート地でやっていることが多くて、バーデンバーデンの温泉につかりに行ったり、フランスでもドーヴィルなんかはそのものが夏のリゾートですし、そういう楽しみ方もありますね。

市丸:食事なんかも……。

合田:フランスはいいですよね。イギリスも、みなさん言われるほどひどくないですよ(笑)。ハブで出す「パブフード」、イギリスの家庭料理ですが、豆を煮込んだやつとか、ポットに入ったシチューとかおいしいですから。あと、海外で食事に困ったら、地元のスーパーマーケットに行けば、だいたいなにか食べられるものはありますから、それを部屋で食べるのが良いと思います。

市丸:海外競馬を中心としたお仕事をされている中で、JRA-VANはどのように活用されていますか?

合田:海外にいると日本の競馬の情報を簡単に知ることができないこともあるので、よく利用させていただいています。

市丸:それはあちらからですか? それとも戻られてから?

合田:両方です。通信環境や時間の問題で、帰ってからまとめてレース結果を知りたい、映像を見たい、ということも必ずありますから。重賞だけではなく、たとえば、話としてはこの新馬がいい勝ち方をしたと知っていても、実際にどんな競馬をしたのか、とか。

市丸:日本の競馬を海外に紹介するお仕事もされているとのことでしたが、そういったときにも参考にされますか?

合田:そうですね。JRAレーシングビュアーで映像を見直しながら書いたり、「アメリカ産馬のなになにが勝ちました、この種牡馬の子供は日本ではどんな距離で……」などといったデータを調べるときにはターゲットを利用しています。結果だけを見て書けないこともないですが、そういった映像やデータも含めれば、より深い情報を伝えることができますから。

市丸:それでは、最後に今後の目標などお聞かせ願えますか?

合田:この仕事を始めてからずっと変わらないことですけれど、海外の競馬を、日本の競馬を見るのと同じように楽しんでいただくためのお膳立て、お力添えをしたいですね。あらゆるスポーツがそうだと思うのですが、日本だけを見ていてもたいへんおもしろく、そして感動的な場面に出会えますが、その範囲をもう少し広げれば、そんなおもしろい話、感動的な話に出会える確率がぐっと高まりますから。

市丸:ブリーダーズCクラシックのゼニヤッタなんて、あんな出遅れたのに追い込んできて、すごかったですからね。

合田:ああいう競馬をして19連勝とか、しびれちゃうわけですよ。負けてしまいましたが、今回のブリーダーズCクラシックをご覧いただければ、あの馬がなぜあれほど人気があるのか、あの馬のすばらしさがわかっていただけたと思いますし、その前の19回を見ていれば、毎回あれに近い感動と感激、喜びを味わえたわけです。

市丸:いろいろな国で、ああいうことが起きているということですね。

合田:あの日のパドックは、あちらの調教師さんでも「あんなの見たことない」と言うくらい、頂点ここに極まれり、という感じでしたが、ああいう馬が出てくる可能性はアメリカだけではなく、イギリスやフランス、香港、オーストラリア、どこでもあるわけですから、楽しいですよ。

市丸:本日はお忙しい時期にありがとうございました。