-第14回-
中央競馬騎手 池添謙一さん
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師匠の馬で初めてG1を取ったスイープトウショウの秋華賞
市丸: そのデュランダルとほぼ同じ時期ですが、04年の秋華賞をスイープトウショウで勝たれましたね。スイープトウショウといえば、トレセンの馬道などで突然動かなくなるというのが有名で……。
池添: 競馬ファンの方なら皆さんご存じかと思いますが、本当に大変でした。
市丸: 動かない、というのは今ひとつピンと来ないのですけれど……。
池添: もう、なにをしても動かないんです。
市丸: 叩いてもですか?
池添: ええ、ステッキもかなり入れましたけれど……。ただ、途中から調教は助手の山田さんが担当されて、自分はレースだけになってかなり楽になりました(笑)。毎日つきっきりで世話をされていた厩務員さんや厩舎スタッフの皆さんは、本当に大変だったと思います。
市丸: チューリップ賞から引退まで乗られましたが、レースの方ではどんな馬だったのですか?
池添: 走り出すと素直で、全然引っかからず乗りやすい馬でした。それで終いは牝馬特有の切れを持っていましたし、走り方も良くて、ポテンシャルはすごく高かったと思います。
市丸: この馬で最初に勝たれたG1は秋華賞でしたね。
池添: 桜花賞、オークスと惜しいところもあって5、2着と勝てなかったので、秋に何としても3歳最後のG1を取りたかったですし、師匠(鶴留明雄調教師)の馬でG1を取るのも初めてだったのでうれしかったです。
市丸: 後方から直線一気、という勝ち方でしたが……。
池添: ローズSで早めに動いて3着だったので、このときは腹をくくって後ろからと決めていました。
市丸: 大外から鮮やかでしたよね。そのあと、翌年の安田記念では10番人気で2着になりましたが、このとき自信は?
池添: ありました。直線に向くまですごくよいリズムで走ってくれて。ただ、外からテレグノシスが動いてきて、自分がイメージしたより早く仕掛けることになってしまったのが誤算でした。もう少し自分が我慢できていればアサクサデンエンも交わせたのではないかと、悔しかったです。負けると全部悔しいですね。
市丸: ただ、安田記念で2着だったにも関わらず、宝塚記念も11番人気という人気薄で。
池添: あまり人気は考えていなかったですね。ただ、中距離の男馬の強いのが全部出ていたので、その中でどれだけ頑張ってくれるかな、という期待もありました。
市丸: タップダンスシチーに、ゼンノロブロイ、ハーツクライ、リンカーンとすごいメンバーでした。このときはちょっと早めの競馬で……。
池添: リズムよく走ることができて、4コーナーで前の馬を射程圏に捕らえられました。自分の中でも本当にうまく乗れたと思います。ただ、もちろん一番頑張ってくれたのはスイープで、女の子でこれだけ走ってくれて、大した馬だなあと感心しました。
市丸: その後、エリザベス女王杯も勝ちましたが、動かないのは引退するまで変わらなかったのですか?
池添: そうですね。理由がわかったら苦労しなかったのですが(笑)、スイープ自身に聞いてみないとわからないです。
市丸: 牝馬ではトールポピーで阪神JFとオークスを勝たれましたね。
池添: この馬に最初に乗ったとき、乗り味がすごく柔らかくて「G1を取れる」と感じました。その通りに取ってくれて「間違ってなかった」と。阪神JFの時はまだ「この時期に勝てる馬じゃないかな…」と考えていたのですけれど、それでも勝ってくれました。能力が高かったんですね。
市丸: そして期待通りに3歳春にはオークスも勝ちました。
池添: レースでは迷惑をかけてしまって……。ただ、この馬に関しては東京のコースがあっているし、距離も大丈夫。オークス向きだと思っていたので、その通りの走りをしてくれて良かったと思います。
市丸: デビューからずっと手綱を取られていましたが、前走(愛知杯・松田大作騎手)は?
池添: 乗りたかったのですけれど、急遽使うことになったので予定が合わなくて。この馬は成績に関係なく、引退するまでずっと僕だけが乗りたかったので、残念でしたね。僕はメイショウベルーガに乗っていましたが、自分がいつも背中にいる馬に違う人が乗っているのを見て複雑な気持ちでしたね。