私の競馬はチョット新しい

-第05回-
ホースコラボレーター 細江純子さん


(3/6)
競馬そのものについてわかっていなかった

市丸: では、今の仕事をやってみよう、と思われるきっかけはなんだったのでしょう?

細江: 騎手時代から良くしていただいていた武豊さんに今後について「こうします」という話をしたところ、「せっかく競馬に携わったのだから、競馬を伝える仕事をしてみたら?」と。

市丸: せっかく経験を積んでこられて、人脈もあるのに、まったく関係ないところへ行ってしまってはもったいないですよね。

細江: 豊さんには「ぜひ鈴木淑子さんのようになってほしい」とおっしゃっていただきました。それで淑子さんや長岡一也さん……、長岡さんは父の知り合いという関係もあったのですが、相談に乗っていただいたり、しゃべり方を教えていただきながら、でしたね。

市丸: 今はいろいろなメディアに出演されてますが、わたしは「トレセンTIME(グリーンチャンネル)」が大好きで、よく拝見しています。

細江: ありがとうございます(笑)。

市丸: 騎手を経験された方ならでは、といいますか、調教助手さんと話しながら「馬がこう変わった」とか、そういうのはすごいですよね。

細江: でもわたし、ジョッキーをやめたころは競馬のことをまったくわかってなかったんです。今では笑ってしまう話なんですけれど、クラシックの意味とかもわかってなかった。

市丸: そうなんですか!(笑)

細江: そうなんですよ!(笑) 競馬学校の試験があったから覚えた、というくらいで。最初は競馬が好きというより、武豊騎手にあこがれたとか、馬がかわいいとかいうのがあってこの世界に入ったので、競馬そのものについてわかっていなかったんです。

市丸: 試験のための知識としてはある程度は頭にあっても、それが実際の競馬の流れに対応していないというか……。

細江: 知らないから質問のしようもなくて、最初は「いっぱいいっぱい」で。当然まわりの方々は知っているものだと思ってますし、ほんと素人でした。でも、同期の福永くんとか、豊さんは「1の質問をしたら10答えてくださる」っていう感じで助けてくださいましたね。


市丸: そこから今に至るまでというのは?

細江: 仕事をしてゆくうちに、乗る方ではなくファンとして競馬や馬を追いかけるようになって、それで「トライアルがあって、こうやってクラシック路線に乗っていくんだ」と知ったり。あと、馬をとりまく、いろいろな方の仕事を取材するうち、レースにたどり着くまでの長い過程を理解し、「これはわたしが乗れなくて当然だ」とも思いましたね。

市丸: というのは?

細江: 厩務員さんや持ち乗り助手さんは、ほとんど休みなく毎日ケアをし、時間を費やしています。そうしたらやっぱり一流ジョッキーに乗ってもらいたいと思うなあ、と。わたしは騎手のときに、自分の立場でしかものを考えていなかったと、情けないと思ったり、反省もしました。また、それとともに、馬って面白いと。騎手を引退して、わからないことだらけの中から、知りたいことがどんどん出てきました。今でもわからないことは多いですが、教えてもらって、教えてもらって、ですね。

市丸: その後、U局の「中央競馬ワイド中継」や、関西テレビのゲート前リポートをされていますが、「こんなふうにやってやろう」などという意気込みはありましたか?

細江: 逆に恥ずかしくて、すごく恥ずかしくて……。最初はちょっと「壁」があった気がしますね。ジョッキーになりたくてなったのに、やめてまだ自分の中で消化しきれないものがあったんですかね。それに競馬も知らないから、なにを聞いていいのか、伝えていいのかわからない。緊張もしますし。